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インフルエンザ等感染症流行期の労務対応
[ニュース] 2026.10.29
1.なぜ今、この整理が必要か
例年、11月頃からインフルエンザ等の感染症が流行期に入ります。発熱した従業員から急な休みの連絡が増えるこの時期になって初めて「休業手当は必要なのか」「有給休暇として処理してよいのか」を確認する企業様は少なくありません。トラブルの多くは、ルールが決まっていないまま個別対応を重ねてしまうことから生じます。年末に向けて多忙になる前の今のうちに、社内の取扱いを整理しておくことをお勧めします。
2.従業員本人の意思による休みの場合
従業員が自己判断で「今日は休みます」と申請し、年次有給休暇(労働基準法第39条)を取得する場合、会社は原則としてこれを拒否できません。有給休暇が残っていない場合や、本人からの申請がない場合は欠勤扱いとなり、その日の賃金を支払う義務はありません(同法第41条に基づく考え方です)。ただし、会社側が一方的に「有給扱いにする」と決めることは認められていませんので、取得は必ず本人の意思に基づくものとする必要があります。
(補足)「時季変更権」とは、従業員が指定した有給休暇の時期を、事業の正常な運営を妨げる場合に限り会社が変更できる権利です。感染症による欠勤そのものを拒否する権利ではありませんので、混同しないよう注意が必要です。
3.会社の判断で出勤停止を命じる場合
季節性インフルエンザに罹患した従業員に対し、会社が業務命令として出勤停止・自宅待機を指示する場合は、原則として休業手当(労働基準法第26条、平均賃金の60%以上)の支払いが必要となります。一方、医師が「労務不能」と診断した場合は欠勤扱いとなり、休業手当の支払い義務は生じません。この違いは、「会社の都合で休ませたのか」「本人の病状により休むべき状態だったのか」という点にあり、実務上は医師の診断や本人の状態を確認した記録を残しておくことが重要です。
なお、新型インフルエンザ等感染症法に基づき都道府県知事が就業制限を行った場合は、企業側の判断による休業ではないため、休業手当の支払いは不要とされています。
4.欠勤が長引く場合の社会保険の対応
欠勤が連続して4日以上に及ぶ場合、健康保険の傷病手当金の対象となる可能性があります。公休日や有給休暇を取得した日も待期期間の算定に含めることができ、最初の3日間は待期期間として給付の対象外となります。従業員から相談を受けた際に案内できるよう、申請書の書式や手続きの流れを事前に確認しておくとスムーズです。
5.今のうちに整えておきたい社内ルール
流行期を迎える前に、就業規則や社内マニュアルに次の点を明記しておくことをお勧めします。①発熱時の出勤停止の基準(本人判断か会社命令か)、②出勤停止時の賃金・休業手当の取扱い、③病気休暇等の特別休暇制度の有無、④復帰時の確認方法(医師の診断書の要否等)。これらを文書化しておくことで、感染症が流行した際にも一貫した対応が可能となり、従業員との認識のズレによるトラブルを防ぐことができます。
6.まとめ
インフルエンザ等の感染症対応は、「誰の判断で休んだか」によって賃金・休業手当の扱いが大きく変わる点がポイントです。本格的な流行期を迎える前に、就業規則の整備状況や過去の対応事例を一度見直してみてはいかがでしょうか。就業規則の見直しや個別の対応について迷われた際は、弊所までご連絡ください。







