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2026年4月から「在職老齢年金」の壁が62万円に~働く高齢者の年金カットラインと中小企業の実務対応~
[ニュース] 2026.09.30
在職老齢年金とは
「在職老齢年金」とは、老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金保険に加入して働き続ける方について、給与(賃金)と年金の合計額が一定の基準額を超えた場合に、年金の一部または全部の支給を停止する仕組みです。この基準額は「支給停止調整額」と呼ばれ、これまで月額48万円とされてきました。人手不足が深刻化する中、「働くと年金が減る」ことが高齢者の就労意欲を削いでいるとの指摘があり、今回の見直しにつながりました。
2026年4月からの変更点
2026年(令和8年)4月から、この支給停止調整額が48万円から62万円へと14万円引き上げられます。対象となるのは、老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険の被保険者として働く65歳以上の従業員です。基準額の引き上げにより、これまで年金の一部がカットされていた方でも、満額受給できるケースが増える見込みです。
具体的な計算例
支給停止額は「(基本月額+総報酬月額相当額-62万円)÷2」で計算します。基本月額は年金の月額(加給年金額を除く)、総報酬月額相当額は月給に年間賞与の12分の1を加えた金額です。例えば合計が60万円であれば基準額(62万円)以下のため年金は全額支給されます。合計が70万円の場合は、(70万円-62万円)÷2=4万円が年金から停止される計算になります。
中小企業が今からすべきこと
企業側で給与計算の仕組みそのものを変更する必要はありませんが、実務上は次の準備が重要です。第一に、65歳以上で働きながら年金を受給している従業員への周知です。基準額が緩和されることで「もっと働いても年金が減らないのでは」という問い合わせが増えることが想定されます。第二に、継続雇用や再雇用の給与設計を見直す好機と捉えることです。これまで年金カットを避けるために抑えていた給与水準を見直し、意欲や能力に応じた処遇へ転換することで、高齢従業員のモチベーション向上や人手不足対策にもつながります。第三に、65歳超雇用推進助成金など関連する助成金制度とあわせて、高齢者雇用全体の方針を整理しておくことをおすすめします。
まとめ
2026年4月の在職老齢年金の基準額引き上げは、企業の給与計算実務に直接的な変更を迫るものではありませんが、高齢従業員の働き方や処遇を見直す良いきっかけになります。制度改正の内容を正しく理解し、従業員からの相談に備えるとともに、自社の高齢者雇用戦略を再点検してみてはいかがでしょうか。詳しい制度内容や自社の給与設計への影響について、ご不明な点がございましたら、ありき社会保険労務士事務所までお気軽にご相談ください。







