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26年「労働基準法大改正」は見送りへ 中小企業が今から進めるべき実務準備
[ニュース] 2026.09.19
2026年「労働基準法大改正」は見送りへ ― 中小企業が今から進めるべき実務準備
1947年の制定以来、実質的に大きな見直しがなされていないといわれる労働基準法。厚生労働省の審議会では「週44時間特例の廃止」「連続勤務日数の上限設定」など、働き方の実態に即した大幅な改正案が議論されてきました。しかし2026年の通常国会への改正案提出は見送られ、施行時期は当面先延ばしとなる見通しです。とはいえ、議論の方向性そのものが撤回されたわけではありません。今回は、見送りの背景と、今後の法改正を見据えて中小企業が今のうちに準備しておきたいポイントを解説します。
■ なぜ改正が見送られたのか
見送りの背景には、「多様な働き方の推進」と「過重労働の防止」という二つの要請を同時に満たす制度設計の難しさがあります。勤怠管理システムの改修コスト、労使間の調整、とりわけ人手不足が深刻な地方の中小企業への配慮など、複数の課題が絡み合ったことが要因とされています。ただし、厚生労働省の労働基準関係法制研究会が2025年1月にまとめた報告書では、改正の方向性そのものは明確に示されており、今後数年のうちに議論が本格化することが見込まれます。「見送り=当面関係ない」ではなく、「準備期間が延びた」と捉えるのが実務上は安全です。
■ 今後想定される主な改正の方向性
- 週44時間特例の廃止:商業・接客業・保健衛生業など、常時10人未満の事業所に認められている「週44時間」の特例措置(労働基準法第40条に基づく特例。本来の週40時間より緩やかな基準)が廃止され、週40時間に統一される方向です。超過分は残業代の発生対象となるため、シフト表や賃金規程の見直しが必要になります。
- 連続勤務日数の上限設定:現行制度では、変形休日制を組み合わせることで理論上48日連続勤務も可能ですが、改正案では13日を上限とする方向で検討されています。36協定の特別条項があっても例外を認めない案が有力とされ、勤怠システムでの連続勤務日数の可視化が今後の課題になります。
- 勤務間インターバル制度の義務化:現在は努力義務にとどまる「勤務間インターバル制度」(終業から翌日の始業まで一定時間の休息を確保する仕組み)を、法的義務へ格上げする方向で議論されています。11時間程度の確保が標準とされ、翌日の始業時刻や給与計算ルールへの影響が想定されます。
- 法定休日の特定義務化:就業規則上、法定休日(週1日または4週4日の休日)がどの曜日かを明記することが義務化される見通しです。法定休日労働は3割5分増し、所定休日労働は2割5分増しと割増率が異なるため、現状あいまいな運用をしている事業所は早めの整理が必要です。
■ 中小企業が今からできる実務対応
改正の施行時期が確定していない段階だからこそ、慌てず段階的に準備を進められます。まずは自社の就業規則を確認し、法定休日が明記されているか、変形休日制の運用実態が連続勤務日数の観点から問題ないかを点検しましょう。次に、勤怠管理システムが「連続勤務日数」や「勤務間インターバル」を可視化できる仕様かを確認し、必要であれば改修や乗り換えを検討します。また、週44時間特例を利用している事業所は、週40時間に移行した場合の人件費影響を試算しておくと、将来の意思決定がスムーズになります。加えて、労働基準法違反による罰金刑は外国人材の受け入れにおける欠格事由にも関わるため、外国人材を雇用・検討している事業所は特に注意が必要です。
■ まとめ
2026年の労働基準法大改正は見送られたものの、議論の方向性は維持されており、将来的な法改正を見据えた準備は今のうちから進めておくことが得策です。就業規則の点検や勤怠システムの見直しなど、具体的な対応についてご不明な点があれば、ぜひ弊所までご相談ください。







